入試業務の“進化論”。─岡山理科大学が挑んだDXのかたち─

導入サービス
2018年度入試よりインターネット出願システム「Post@net(ポスタネット)」を導入。
以降、志願者管理システム「Post@inside(ポスタインサイド)」、入学手続きシステム「Post@entrance(ポスタエントランス)」、新合否照会システム「Post@pass+(ポスタパスプラス)」を段階的に導入。
2026年度入試からは入学準備サイト「Post@ready(ポスタレディー)」の導入も決定しており、さらなる業務改善を推進。
導入前の課題点
かつて出願情報の手入力や紙ベースの郵送作業が中心で、10,000件以上の紙願書をOCRで読み取る業務が存在し、大学職員の作業負担は非常に大きいものであった。
また、出願状況の集計にも時間を要しており、部門間の情報共有のスピード感が課題であった。
これらの問題を受け、業務効率化と一元化を目指して、2018年度よりPost@シリーズの導入を開始(他社出願システムからの乗り換え)。
学内のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する大きな一歩となりました。
導入して変わったこと・実際の感想
複数サービスを統合的に活用することで、出願、志願整理、合否結果照会(通知)、入学手続き、さらには入学準備まで、一連の入試業務がスムーズに。
部門間での情報共有も容易になり、他部署の業務負担も軽減。大学全体の業務効率が飛躍的に向上した。
サポート体制の手厚さには満足しており、「すぐ対応してくれる」「相談しやすい」といった声が職員内で多数あがっている。
今後はシステム一本化による戦略的な分析活用にも期待が寄せられている。
数あるシステムの中から選定したその理由とは。
- 導入前の業務課題について教えてください。
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インターネット出願システム導入前、本学の入試業務は完全に紙ベースで運用されていました。
出願書類の受理から情報入力、チェック、受験票の発行、合否通知の発送まで、すべてが人手による作業に依存しており、非常に煩雑かつ時間がかかるものでした。
特に出願情報の手入力とチェックは、作業ミスのリスクが常につきまとう工程であり、志願者が10,000人を超えることから、膨大な量の処理を少人数の職員で対応する必要がありました。
さらに、紙願書のOCR処理も限界があり、手作業による補完や修正が日常的に発生していました。
こうした状況では、正確性を担保するために二重チェックや読み合わせの工程が欠かせず、他部署の職員も応援に入らざるを得ない状況で、入試期間中は大学全体の業務負荷が非常に高かったです。
出願状況の把握や進捗管理もリアルタイム性がなく、上層部への報告に必要なデータ集計にも時間がかかっていました。
また、郵送業務に関しても、受験票や合格通知、入学手続き案内の発送に多くのリソースを割く必要があり、印刷・封入・送付確認などの工程に多くの工数とコストが発生していました。
誤送付や送付漏れのリスク管理も職員の大きな心理的負担となっており、年々増加する業務量に対して、人的リソースが追いつかなくなっているという明確な課題感がありました。
- Post@net導入の決め手は?
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Post@netを導入した最大の理由は、業務効率化が実現できることはもちろんのこと、サポート体制が充実していたことや、コストパフォーマンスが高かったことが挙げられます。
当時利用していた他社システムでは、サポートに対する不満が多く、障害やトラブルへの対応が遅れがちで、現場職員の業務に支障をきたす場面が多々あり、
加えて、実際の業務はシステムベンダーから別業者へ外注されていたので、対応のタイムラグやコストの増大が発生しており、継続的な運用に不安が残っていました。
その点、Post@netはサポート体制が充実していることが非常に魅力的でした。
また、岡山県内の複数大学での導入実績があることで県内受験生の利便性も高く、出願時の混乱を最小限に抑えられると判断しました。
そして、同じグループの他校が先行導入していたこともあり、導入後の運用イメージが掴みやすかった点も大きな安心材料でした。
導入決定の際には、サポート体制の充実度が特に驚かされました。
Post@は入試業務に精通した担当者が、大学により沿った設定や運用に関してもきめ細かくフォローしてくれる体制が整っており、実際に設定ミスを未然に防ぐ連絡をしてもらえるなど、対応の早さと細かさに非常に信頼感を持ちました。
また、コスト面でも他社と比較して圧倒的にリーズナブルであり、導入ハードルが低かった点も決め手の一つでした。
- Post@inside導入による業務変化について教えてください。
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Post@insideを導入したことで、志願者情報の一元管理が可能となり、業務フローに大きな変化がもたらされました。
それまで利用していた他社システムでは、受験番号の付番や帳票出力などに柔軟性がなく、標準機能に合わせて運用を強いられる場面が多くありました。
しかし、Post@insideでは、基本機能が豊富に準備されており、また、業務ニーズに合わせ帳票レイアウトやデータ抽出の条件も自由に設定できるため、自学の業務フローにフィットした運用が可能となりました。
特に、入試区分ごとの統計や分析資料の作成が大幅に効率化され、上層部への報告資料の準備にかかる時間が軽減しました。
これまでは、複数のシステムやExcelを横断して集計・加工をしていた作業が、Post@inside上で完結するようになり、属人化していた業務も平準化が進みました。
また、他システムとのデータ連携にも柔軟に対応でき、たとえば入学後の履修管理や学生情報管理システムへのスムーズなデータ引き渡しが実現。部門をまたいだ業務のデジタル化が一層加速しました。
- Post@entranceの便利な機能について教えてください。
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Post@entranceの中でも特に有用だったのが、入学手続き時のメール配信機能です。
入金締め切りを過ぎてから「知らなかった」「見ていなかった」と連絡が入ることが多く、対応に追われるケースが多々ありましたが、
メール配信機能では、事前に対象者を抽出して通知を行えるため、ミスや漏れの防止だけでなく、「メールを送信済みである」という証拠が残る点でも非常に効果的でした。
さらに、手続き状況がシステム上でリアルタイムに確認できるようになったことで、入力漏れや不備が発生している学生へのフォローもスピーディーに行えるようになりました。
また、入力状況は学生課とも共有可能で、入学後のオリエンテーションや在学生管理への引継ぎもスムーズになり、大学全体としての業務効率化にもつながっています。淡水魚と海水魚を同じ水槽で飼育できる人工飼育水
- 導入による他部門への波及効果はありましたか?
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Post@シリーズ導入前は、出願処理や合格通知の発送といった繁忙期には、入試広報部だけでは人手が足りず、他部門の職員に応援を依頼する必要がありました。
合格通知の印刷・封入・発送確認など、極めて労力のかかる作業を大学全体で対応するという体制が常態化していました。
しかし、Post@シリーズの導入によってこれらの作業が大幅に削減され、今では入試広報部内で業務を完結できるようになり、他部門への業務負荷が著しく軽減されました。
さらに、情報共有がリアルタイムで可能になったことで、他部門との連携もスムーズになりました。
- 今後の展望について教えてください。
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現在、入試関連業務のさらなるデジタル化・一元化を目指し、Post@readyの導入を進めています。これにより、合格者への郵送物(学内ポータルのアカウント情報、各種ガイド、オリエンテーション案内など)をすべてWeb上で提供できるようになり、郵送コストや作業負荷の削減が期待されます。
特に、合格者に向けて一斉に発送していた紙の入学ガイドの電子化は、職員の業務負担を大きく軽減するものと見込んでいます。
さらに、Post@シリーズの各システムが一体化することで、志願者の行動履歴をトラッキングし、オープンキャンパスへの参加履歴から出願、入学までの動線分析が可能となる未来を描いています。データを一元管理できれば、マーケティング戦略の最適化や次年度の施策立案にも大きく貢献するはずです。
現状ではまだ各部門で別々のシステムが稼働しており、データの横断的な分析や共有が難しいという課題がありますが、Post@シリーズによるシステム統合が進めば、ボタン一つで必要な統計データや分析結果を出力できる環境が整うと期待しています。
将来的には、入試業務だけでなく、広報や学生支援といった周辺業務も含めた大学全体のDX基盤として、Post@シリーズが中心的な役割を担うことを目指しています。
豊かな自然に囲まれた丘陵地に広がる学内は、学生たちの学びと成長を支える広大なフィールドであることを物語っている。